第3回セミナー『親なきあとを考える』を終えて

2023.11.13

親なきあと相談室関西ネットワーク様より講師をお招きしてのセミナー第3弾を、11月11日に開催致しました。

まずは、御多忙の中、御参加頂きました保護者様、有難うございました。

今回は、障がいを抱える方々の「住まい」をテーマにしたお話でした。児童デイサービス・ポラリスを卒業した後の子ども達の進路は様々です。日中活動の場は、民間企業・就労支援事業所・生活介護事業所等、保護者の皆様にも比較的馴染みのあるところだと思います。対して、生活拠点をどうしていくか?については、当面は同居を前提としているケースが多数のため、なかなか具体的な事例に触れる機会が少ないのではないでしょうか?

今回のセミナーでは、障がいを抱える方の「住まい」としてグループホーム・障がい者入所施設・サポートマンション・住宅型有料老人ホーム・障がい者専用ホーム等を御紹介頂きました。有料老人ホームが選択肢となりえることなどは、「住まい」を専門として相談にのっておられる講師ならではの情報だったのではないでしょうか? 第1回セミナーから3回に渡り、支援の場の存在、問題・課題の再認識、成年後見制度、信託、住まいと、子ども達の人生を考える上で大切な事柄をあらためて整理して頂く機会なりましたなら幸いです。WILLCAREでは、出会った子ども達の10年後、20年後を見据えた活動を心掛けています。皆様方からアンケートとして頂戴しました御意見をもとに、今後も有用な情報を御提供できる場を設けていきたいと考えておりますので、引き続き宜しくお願い申し上げます。

 

なお、今回セミナーにおいて御質問頂きました『健康保険(協会けんぽ)での扶養』について、下記におまとめさせて頂きましたので、御参考くださいませ。

◆健康保険(協会けんぽ)における扶養の考え方◆

・健康保険における扶養は、『被保険者により主として生計を維持されていること』が大前提となります。

・被保険者により生計を維持されている状態とは、扶養される方の年収が130万円未満(60歳以上または障害者の場合は、180万円未満)、かつ、被保険者からの仕送り額未満である状態をいいます。

・健康保険(協会けんぽ)では、配偶者、子、孫、兄弟姉妹、父母、祖父母などの直系尊属は、別居していても扶養にいれることが出来ます。

 

◎子どもがグループホームに入居する場合は? パターンⅠ

親と子の関係であるため、制度上、別居でも親の健康保険(協会けんぽ)の扶養にとどまる権利あるが、子どもへの仕送り額が子どもの収入額以上である必要がある。

 

例)親 + 子(障害基礎年金2級)

・子どもがグループホームへ入居 ⇒ 住民票を異動 ⇒ 別居

・障害基礎年金2級 6.6万円/月 + 就労支援B型からの収入3万円/月

・毎月、約10万円の仕送りをする場合は健康保険の扶養継続が可能

 

◎子どもがグループホームに入居する場合は? パターンⅡ

 子どもの収入以上の仕送りが実質的に難しい場合、健康保険の扶養から抹消となる。この場合、生活保護の申請がとおれば健康保険は生活保護の制度の下に保証されます。

 

例)親 + 子(障害基礎年金2級)

・子どもがグループホームへ入居 ⇒ 住民票を異動 ⇒ 別居

・障害基礎年金2級 6.6万円/月 + 就労支援B型からの収入3万円/月

・毎月、約10万円の仕送りが難しい ⇒ 健康保険の扶養から抹消

・生活保護の申請を行う ⇒ 申請が認められた場合は、医療費も扶助される。

 

 

◎同居のまま世帯分離を行った場合は?

健康保険(協会けんぽ)においては、世帯単位では判断せずに住所地で判断するため、世帯分離後も同居とみなします。そのため、仕送りの要件は該当しませんのでそのまま扶養家族として保険証の使用が可能です。

 

                                                        (文責)濱 恒美(法人代表・社会保険労務士)